アラジンのある風景
マスターが古道具屋で選んだ
少し武骨なストーブ。
今ではお店のマスコットに。
老舗の名喫茶「あらびかコーヒー」の扉を開くと、コーヒーの良い香りがふわっと漂ってくる。マスターの國田和彦さんは、今日もお店の奥で豆を焙煎する。相棒は、38年前から使っている焙煎機だ。フロアに目を向けると、年季の入ったブルーフレームヒーターが、創業当初からいるような顔をして立っている。
冬の始まりから終わりまで。
期間限定で会えるもの。
ブルーフレームヒーターがお店に登場するのは、毎年だいたい11月頃。来店した人たちは、その姿を見て「アラジンのストーブだね」「かわいいね」と笑顔を向ける。マスターのお嬢さまであり店長でもある中村英子さんは、「このヒーターを出すと、みんな周りに集まってくるんですよね。手をかざしたくなるのかな」と首をかしげる。天板の上で焼き芋をつくるときは、さらにたくさんの笑顔がヒーターに向けられる。
脱サラしてコーヒーを追求。
凝り性のマスターが選んだヒーター。
今から40 年以上前のこと。埼玉県で会社勤めをしていたマスターの國田さんは、大好きなコーヒーのお店を開くため、家族を連れて島根県へ帰郷した。最初はコーヒー豆の小売店を考えていたけれど、豆のおいしさを知ってもらうためには、飲んでもらうのが一番。こうして喫茶店が誕生した。マスターは、焙煎だけでなく、シチューの下ごしらえやケーキづくりも手がけている。奥さまと店長とアルバイトの方々は、コーヒーを淹れたり、盛りつけをしたりしてそれを助ける。あらびかコーヒーは、コーヒーの味はもちろん、働く人の人柄も、店内の雰囲気も、丸ごと地域に愛されて続いてきた喫茶店なのだ。
ブルーフレームヒーターを使うようになったのは10 年ほど前。マスターが古道具屋さんから購入してきたのがきっかけだった。当時のことを思い出して、マスターは言う。「『手入れのしがいがある、おもしろそう』と思って買ったんです。どれぐらい古いのか分からないけど、もしかしたらお店と同じぐらいの年齢かもしれませんね」。ヒーターをすみずみまできれいに掃除して、芯を替える作業を、マスターは長年楽しんでいる。
グラファイトトースターも活躍中。
どの製品もお店にしっくりくる。
「アラジンさんの製品は好きですよ。どれを置いても、うちのお店にしっくり合う気がする」と言う中村さん。お店のキッチンではグラファイトトースターを愛用している。一方、長い付き合いのブルーフレームヒーターについては「うちのマスコットキャラクターですね」。マスターをはじめ、スタッフや常連客など、みんなに愛されるヒーターは、冬のあらびかコーヒーになくてはならない存在なのだ。